17. 少し先ゆく君にかけよる


 は翌日に息を引き取った。
 その顔はとても安らかだったそうだ。
 後日、の両親からダンブルドアに連絡があり、の灰を遺言でホグワーツの湖に撒いてほしい、ということだった。
 
 日本では遺体を焼いて、その灰を墓に入れるのだという。

 ダンブルドアと私は、の影も形もない白い粉末を、湖に撒いた。

 言いようのない空虚感。

 しかし、なぜだかふと、の存在を近くに感じるときがある。
 「化けて出る」といったあいつの言葉通り、なのかもしれない。あいつなら本当にやりかねない。
 そんなときは、なぜか背筋が引き締まる気がした。
 あいつが見ている、と。
 
 誰かに嫌悪されても。
 誰かを手にかけなければいけなかったとしても。

 自分の使命を、私はまっとうしていった。

 緑色の瞳が私を捉える。
 ずっと嫌悪感を抱いていた丸い眼鏡の奥にある瞳は、憂いの表情だった。

 全身が、千切れそうに痛い。
 実際に帝王の蛇によって噛みちぎられた身体は、死期が近いことを安々と想像させる。

 教え子であり、リリーの息子である少年   いや、もう青年と呼ぶべきか   にすべてを伝えた達成感か、私の意識は急速に途絶えていった。

 これが、死。

 恐怖感よりも、ようやく終えられるのだという充実感のほうが強い。

 闇に沈む。
 おそらく向かう先は、地の底だろう。

 身体がずんと下に堕ちてゆく中、柔らかい光が私を包んだ。

『お疲れさま……セブルス』

 それは、とてもとても懐かしい声だった。

『よく、がんばったね』

 そのひと言は最後に耳に残るのに、充分すぎる言葉だった。

 その光の先に向けて、私は手を伸ばした。

 

2021.1.8
title frome ハルさん(待ち合わせは、いつものポスト/ハリポタ企画サイト)
ヒロイン視点: 16 --- 17
セブルス視点: 16 --- 17

あとがき

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