15. 先、行ってるね


『セブルス・スネイプさま

 この手紙をセブルスが読むということは、私はこの世にはいないのでしょう。
 ……なぁんて、一度言ってみたかった台詞。
 
 おそらく、この手紙を手にしているということは、私の事情を知っているのだと思う。

 セブルス。
 ごめんなさい。
 ごめんなさいと、何回言っても足りないかもしれない。

 セブルスに本当のことを話すことができなかった。
 そして、自分の命に、限りがあることを知っていながら、セブルスに近づいた。

 言い訳を、させてください。

 ホグワーツを卒業するときに、セブルスの前から勝手に消えたことを、いなくなる前に、謝りたかったの。
 後悔していた。心から。

 誰よりも、大事な友人の前から離れたことを。

 私は、闇の魔術に染まっていくセブルスが怖かった。
 ううん、違う。
 それだけなら、私は、何がなんでもセブルスを闇から引き離そうとしたかもしれない。

 私は、セブルスの目にリリーさんしか映らないのだということが、辛かった。苦しかった。
 私がどれだけ隣りにいて声をかけ続けたとしても、私の声は届かないのだもの。

 はじめてセブルスと出逢ったときのことを、今でもはっきりと思い出します。

 右も左もわからない、外国のことも魔法界のことも何ひとつ知らない私が、いきなりくじけそうになったとき、セブルスは助けてくれたよね。
 (セブルスは“助けた”つもりなんてないのだろうけど)

 あのときセブルスがいなかったら、私はホグワーツに入学していなかったかもしれません。

 そのときから、私は。
 最初から、私は。
 ずっと、セブルスのことが、大好きだった。

 私のほうが、リリーさんよりもずっとずっとセブルスのことを考えていたのに、セブルスってば全然私のことを見てくれないんだもの。
 さすがにちょっと、不貞腐れてしまって、セブルスのことなんて忘れよう、と思った。

 そもそもそんな考えが間違いだった、とは今でこそ思えるけれど、臆病な私は、きっとセブルスの隣に居続ける選択肢を、持てなかったと思う。
 自分の命に限りがある、という事態にならなければ。
 そう考えると、余命宣告を受けたというのも悪くないよ、うん。


 セブルス、忘れないで。
 セブルスはひとりの人間を救ったんだよ。

 セブルスのおかげで、私は、学生時代とても楽しかった。
 セブルスのおかげで、このひととせは幸せだった。

 セブルスと過ごした春から冬、とても充実していた。
 移ろう季節の美しさ。
 人の温かさ。
 誰かを想う気持ちの尊さ。
 いろいろなことを、教えてもらった。

 セブルス、ありがとう。

 セブルスは素晴らしいひとなのだということを、けっして忘れないでください。

 私は先に旅立ちますが、セブルスの人生に幸いが訪れるよう、見守っています。

 じゃあ、また、ね。


 

 

2021.1.8
title frome ハルさん(待ち合わせは、いつものポスト/ハリポタ企画サイト)
ヒロイン視点: 14 --- 15 --- 16
セブルス視点: 14 --- 15 --- 16

Top