『セブルス・スネイプさま
この手紙をセブルスが読むということは、私はこの世にはいないのでしょう。
……なぁんて、一度言ってみたかった台詞。
おそらく、この手紙を手にしているということは、私の事情を知っているのだと思う。
セブルス。
ごめんなさい。
ごめんなさいと、何回言っても足りないかもしれない。
セブルスに本当のことを話すことができなかった。
そして、自分の命に、限りがあることを知っていながら、セブルスに近づいた。
言い訳を、させてください。
ホグワーツを卒業するときに、セブルスの前から勝手に消えたことを、いなくなる前に、謝りたかったの。
後悔していた。心から。
誰よりも、大事な友人の前から離れたことを。
私は、闇の魔術に染まっていくセブルスが怖かった。
ううん、違う。
それだけなら、私は、何がなんでもセブルスを闇から引き離そうとしたかもしれない。
私は、セブルスの目にリリーさんしか映らないのだということが、辛かった。苦しかった。
私がどれだけ隣りにいて声をかけ続けたとしても、私の声は届かないのだもの。
はじめてセブルスと出逢ったときのことを、今でもはっきりと思い出します。
右も左もわからない、外国のことも魔法界のことも何ひとつ知らない私が、いきなりくじけそうになったとき、セブルスは助けてくれたよね。
(セブルスは“助けた”つもりなんてないのだろうけど)
あのときセブルスがいなかったら、私はホグワーツに入学していなかったかもしれません。
そのときから、私は。
最初から、私は。
ずっと、セブルスのことが、大好きだった。
私のほうが、リリーさんよりもずっとずっとセブルスのことを考えていたのに、セブルスってば全然私のことを見てくれないんだもの。
さすがにちょっと、不貞腐れてしまって、セブルスのことなんて忘れよう、と思った。
そもそもそんな考えが間違いだった、とは今でこそ思えるけれど、臆病な私は、きっとセブルスの隣に居続ける選択肢を、持てなかったと思う。
自分の命に限りがある、という事態にならなければ。
そう考えると、余命宣告を受けたというのも悪くないよ、うん。
セブルス、忘れないで。
セブルスはひとりの人間を救ったんだよ。
セブルスのおかげで、私は、学生時代とても楽しかった。
セブルスのおかげで、このひととせは幸せだった。
セブルスと過ごした春から冬、とても充実していた。
移ろう季節の美しさ。
人の温かさ。
誰かを想う気持ちの尊さ。
いろいろなことを、教えてもらった。
セブルス、ありがとう。
セブルスは素晴らしいひとなのだということを、けっして忘れないでください。
私は先に旅立ちますが、セブルスの人生に幸いが訪れるよう、見守っています。
じゃあ、また、ね。
』
ヒロイン視点:
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セブルス視点:
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